障害者就農実施施設の取り組み調査

課題の整理

課題はまず取り組みの事前準備段階と取組み実施後に分かれる。

そして、事前準備段階では、①プロジェクトに取り組むかどうか決断、②プロジェクトチームの発足、③既存の取り組み事例の情報取集、④プロジェクト内容の決定に分かれる。

NPO法人と社会福祉法人では課題には大きな差がみられない。しかし、取り組むかどうかの意志決定時には、トップや理事の判断が重要な要件となるが、小さい組織は決断すれば、組織内合意、その後の取組み実施までの動きは早い。それに対して大きな組織は、トップダウン組織を除けば、合意に至るまで時間がかかると考えられる。

企業(特例子会社)は、NPO法人や社会福祉法人とは異なる課題がある。最も大きな違いは、1つ目は農業、福祉についての法律や助成金制度が分からない、2つ目は障害者をどのように採用し、どのように働いてもらうのか分からない、3つ目は最低賃金を確保できる事業とすることができるかということである。4つ目は農業も福祉に取り組むのもほぼ初めての経験ということである。ただし、特例子会社では設立に当たっては、本社より出資や融資を受けること、場合によっては役員および職員の人件費は本社が負担する有利なケースもある。

表1 課題の整理

課題NPO法人等社会福祉法人等企業 (特例子会社)
プロジェクトに取り組むかどうか決断法人トップ等による決断
プロジェクトリーダーの決定どのような基準でプロジェクトリーダーを選ぶのか?社長等役員、人事による任命だが、どのような基準で選ぶのか?
プロジェクトチームの発足専任担当者を配置できるか?人事、体制の整備を組織として行う。
既存の取り組み事例の情報取集(1) ネット、書籍などの文献による情報収集...情報源はどこか?
(2) 既に障害者就農に取り組んでいる事例の視察...情報源はどこか?
プロジェクト内容の決定、具体化(1) どのような生産方法にするか?何をするか?
(2) 農地はどうしたら良いのか?(借りるか、購入するのか)
(3) 農地、法人、助成金等について、どのような農業の法律があるのか?
(4) 農業技術の取得はどのようにするのか?
(5) 施設や機械はどのように入手したらよいのか?
(6) 初期費用をどのように負担するのか?(資金調達方法の決定(助成金と民間融資の活用))(6) 初期費用をどのように負担するのか?(資金調達方法の決定(助成金と民間融資の活用、また本社による資金支援))
(7) 運営開始後1年間の運営コストはどうするのか?
(8) 生産物の販売先はどのように確保するのか?
(9) 2、3年の事業計画の策定(9) 2、3年の事業計画の策定(最低賃金を支払うことができる)
(10) 法人、助成金等についての福祉の法律はどのようなものがあるのか?
(11) どのように障害者を採用できるのか?
(12) どのような職員を配置する必要があるのか?
(13) 上記についてどこに相談すればよいか?
取り組み実地後(1) 職員への技術指導はどのように?
(2) 障害者への技術指導
(3) 営業の実施
(4) 安定性をはかれるか
(5) 価格の交渉と決定

ここであげた課題は、調査によって浮かび上がってきたものであるが、本調査の3事例だけですべてを明らかにできない。今後もさらに調査を深めること、さらにより多くの事例から明らかにしていくことが必要である。