農業の取り組み|事例紹介 §1

社会福祉法人くりのみ園

社会福祉法人くりのみ園
(1)施設概要
設立
平成9年(1997)
代表
理事長 島津隆雄
本部
長野県上高井郡小布施町大字都住1238-2

くりのみ園は、小布施町に本部「くりのみ園」を開設し、そこでは就労継続支援A型・就労継続B型事業に取り組んでいる。さらに長野市に「ナチュラルガーデンくりのみ」を開設し、就労継続支援A型・就労継続B型・就労移行支援事業に取り組んでいる。

「くりのみ園」では、自然有精卵養鶏、米・大豆・ナタネ(二期三作)、野菜を生産し、発酵食品の製造を行っている。「ナチュラルガーデンくりのみ」では、米・大豆・ナタネ、野菜の生産、スイーツ・ジャムなどの製造に取り組み、生産した農産物や加工食品等を販売する直売所を開設している。

(2)調査日/対応者

平成26年11月7日/島津隆雄氏

(3)調査目的

農業生産および6次産業化に取り組み、地域の伝統的な農業生産方法を継承する事例について実態調査を行った。

(4)調査内容

表1 農業の取り組み概要

農地水田/約5ha(借入地)、畑/約3ha(借入地)、鶏舎1ha
農産物米、大豆、ナタネ、野菜、(約50種)、養鶏3,500羽
出荷多くは販売し、一部を自営直売所で販売
販売先自営直売所、ホテル・レストラン(契約出荷)、給食センター、病院など
栽培有機農業(自然循環型=有畜複合型農業、農薬・化学肥料不使用)
作業者就労継続支援A型利用者20名|就労継続支援B型利用者26名|就労移行支援利用者10名|職員21名
事例紹介|社会福祉法人くりのみ園
平飼いニワトリのハウス
平飼いニワトリのハウス
移動販売車
移動販売車
<6次産業化の取り組み>
  • 加工

    漬物、味噌などの発酵食品、カステラ・プリン・シフォンケーキなどのスイーツを製造している。また卵油・米麹味噌・ナタネ油・ソーセージ等については業者へ製造委託して、法人が販売している。

  • 販売

    法人は本部のほか、加工施設兼直売所「ナチュラルガーデンくりのみ」を運営し、生産した農産物と加工した農産物を販売している。そのほか、ワゴン車による生産した農産物や加工食品等の移動販売にも取り組んでいる。

  • その他

    6次産業化の認定事業者としての資格取得。

<地域等との連携>

農業生産に取り組むにあたって、地域の農家の古老より技術指導を受け、里山を活用した循環型の農業生産方法について学んでいる。近年では、農家の農業継承者がいないため(家の跡継ぎはいるが、農業を継承しない、あるいは子供には技術がないため継承できないため)、法人が農地管理を行っている。

法人への農地管理の依頼は農業委員会を通じて行われている。

連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家
  • 地域伝統農業生産方法の継承
  • 地域伝統農産物の生産の継承
  • 農家からの技術指導
  • 農家の農地を管理
<その他>
  • くりのみ園は農業に本格的に取り組むにあたり、農林水産省の助成金事業を活用するため平成22年「認定農業者」認定を受けた。さらに一層の工賃向上、職域開拓、障害者就労訓練等を実現するため平成25年には6次産業化の認定業者となっている。
  • エネルギーを自給するため、本部の屋根を利用した太陽光パネルによる再生エネルギー事業にも取り組んでいる。
  • 就労継続支援A型利用者へは最低賃金以上を支払っており、障害者年金を加えると利用者の年収は約180万円に達する者もいる。就労継続支援B型利用者へは平均工賃2.7万円を支払い、障害者年金を合わせると約140万円に達する者がいる。
(5)今後の展望

地域では農業の後継者がいないため、ますます法人の存在価値が高まっている。人員および事業体制を考慮して、可能な範囲で農地管理を行っていく予定である。また高齢化のすすむ地域において買い物支援ニーズが高まっている。そこで移動販売エリアの拡大を図るとともに一層の6次産業化を推し進める計画である。

そして福祉と農業を融合する「田園福祉」による地域社会の再構築に貢献していくことを志向していくとしている。