農業の取り組み|事例紹介 §4

社会福祉法人一麦会

社会福祉法人一麦会
(1)施設概要
設立
平成元年(1989)
代表
理事長 田中秀樹
本部
和歌山県和歌山市岩橋643

一麦会は、事業所「こじか園」「第二こじか園」等において障害児を支援する児童発達支援センター・放課後等デイサービス事業を実施している。また事業所「麦の郷ハートフルハウス 創 ~HAJIME~」「創 Café ~HAJIME Café~(粉河 山崎邸)」において不登校・社会的ひきこもり者を支援する事業を実施している。事業所「けいじん舎」「ソーシャルファームもぎたて」等において障害者の就労支援をする就労継続支援A型事業、さらに事業所「はぐるま共同作業所 和の杜」「はぐるま共同作業所 ラ・テール」等において就労継続支援B型事業を行っている。加えて、事業所「ひびきの郷」「あいあいホーム」等において生活支援を行う共同生活援助事業など、多くの事業に取り組んでいる。

一麦会は、地域の障害者・障害児に加え、不登校児・引きこもりの受入れ施設となっており、近年、ソーシャルファームとして注目を集めている。

「和の杜」では障害者が地域の農家が持ち込む規格外品の農産物や小ロットの余剰の「もったいない」農産物を加工し、OEM生産(相手先ブランド名での製造)や販売をしている。

さらに地域の空き家となっていた長屋の店舗を活用し、さまざまな対象者の就労支援にかかる事業展開をしている。

また、近年、「くろしお作業所」の生活介護利用者を中心に耕作放棄地を利用した農業にも取り組み始めている。

(2)調査日/対応者

平成26年11月20日/柏木克之氏・大中一氏

(3)調査目的

地域農家の生産物を加工する事業に取り組む事例について実態調査を行った。

(4)調査内容

表4 農業の取り組み概要

農地畑/約30a(借入地)
農産物トマト、メロン等
加工品納豆、せんべい、粉末緑茶、ゼリー等
出荷農産物の多くは自給食材
販売先加工食品を生産し、ネット・地域の直売所での販売、商談会を通じた事業者への販売など
栽培有機農業(無農薬・有機肥料)
作業者和の杜(食品加工):就労継続支援B型利用者20名、職員7名|麦市(直売所):就労継続支援B型利用者5名、職員3名、高齢者1名|くろしお作業所(農業):生活介護利用者30名、職員1名(元JA職員)
事例紹介|社会福祉法人一麦会
小ロットのゼリーを充填する機械
小ロットのゼリーを充填する機械
地域の遊休店舗を活用した直売所
地域の遊休店舗を活用した直売所
<6次産業化の取り組み>
  • 加工

    農家から依頼された小ロットや規格外品の「もったいない」農産物を加工している。農産物のOEMによる食品加工を行う一方、農家から農産物を購入し、自主製品としての加工・販売も行っている。農家から委託された食品加工は100個単位の食品製造から引き受けている。

    食品加工の取り組みにあたっては、生協等の衛生管理指導を受けたり、職員が研修会に参加しノウハウを蓄積した。また化学合成された食品添加物を使用しない食品製造に取り組んでいる。

  • 販売

    不登校児・引きこもり者によるカフェや直売所「麦市」を運営している。またそこでは買物難民の高齢者のための移動販売も行っている。直売所では高齢な農家が生産した少ない量の野菜、自分達で製造した加工食品、地域のほかの障害者福祉事業所の加工食品などを販売している。

<地域等との連携>
  • 農家から委託された農産物を加工している。

    連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家
    • 加工機械の稼働率の向上
    • 農家は小ロット、規格外品の販路の開拓
    • 一麦会による新たな地域貢献
  • 直売所において地域のほかの障害者福祉事業所の加工食品を販売している。

    連携関係:障害者福祉事業所←→ほかの障害者福祉事業所
    • 多様な品ぞろえ
    • ほかの事業所は新たな販路の開拓
<その他>
  • はぐるま共同作業所は「和の杜」を含め3つの食品加工事業所を運営しており、連携して食品製造に取り組んでいる。工賃は平均3.2万円。就労支援事業ではまず販売先を確保してから、生産・製造を行うこととしている。
  • 農作業は重度の生活介護利用者が行うが、リハビリテーション・レクリエーション・癒しなどを目的としている。
(5)今後の展望

年々農家によるOEMによる食品加工が増加しつつある。そのニーズは高いことから今後も対応していく予定である。これまで障害者、さらには不登校児・ひきこもり者を対象とした生活支援や就労支援に取り組んで来たが、今後は高齢化する地域の高齢者を対象とした介護保険事業に取り組んでいくことを検討している。