農業の取り組み|事例紹介 §8

社会福祉法人白銀会

社会福祉法人白銀会
(1)施設概要
設立
平成2年(1990)
代表
理事長 長谷川淺美
本部
茨城県石岡市鹿の子4丁目16-52

白銀会は、施設入所支援・自立訓練・就労移行支援を行う「しろがね苑」、生活介護・自立訓練・就労継続支援B型・就労移行支援を行う「銀の笛」、就労継続支援B型を行う「ワークセンターしろがね」、そのほかグループホーム(12カ所)等において、知的障害者の就労支援、自立訓練、施設入所支援などにかかる事業を実施している。

「しろがね苑」ではお菓子の袋詰め作業、紙・プラスチックのリサイクル作業、清掃作業(施設外就労)、農業生産を行っている。また生産した農産物をJAや直売所等へ出荷するとともに、奈良県の他の社会福祉法人にカレー原料となる野菜を出荷するなど、販路の拡大を図っている。

そして平成23年に地元企業の日立建機(株)との共同出資による農業生産法人・株.白銀ファームを設立した(以下、農業生産法人)。企業の障害者法定雇用率の達成と利用者の一般就労先の創出を目的として会社を設立した。

さらに平成26年に茨城県内産農産物を食材の中心とするレストラン「トラットリア ア・グレステ」を開業した(建物は県内産の木材を利用)

(2)調査日/対応者

平成26年10月21日/長谷川淺美氏ほか

(3)調査目的

農業生産および6次産業化に取り組み、一般就労への積極的な支援に取り組む事例について実態調査を行った。

(4)調査内容

表8 農業の取り組み概要

農地畑/約3ha(借入地)
農産物約30種類(ナス、豆類が中心)
加工品冷凍加工野菜ほか
出荷一部を自給食材として利用、大部分を販売し、自営飲食店でも利用
販売先市場、JA、直売所、飲食店など
栽培無農薬・自然栽培(有機肥料は利用)
作業者就労移行支援事業等利用者14名、農業生産法人利用者25名、ほか職員7名
事例紹介|社会福祉法人白銀会
野菜加工施設
野菜加工施設
レストラン「トラットリア・アグレステ」
レストラン「トラットリア・アグレステ」
<6次産業化の取り組み>
  • 加工

    生産した野菜を第一加工し、冷凍加工野菜を生産している。

  • 販売・飲食店

    土地を購入し、ドッグランを併設したレストラン「トラットリア ア・グレステ」を開業している。レストラン内には簡易直売所を開設、さらに冷凍加工野菜も販売している。

<地域等との連携>
  • 施設外就労として除草、芝刈り、定植、栗拾い等の作業を地元企業15社より受託している。

    連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家・企業
    • 地域の農作業手伝い
    • 新たな職域の開拓
  • 地域の企業と共同出資し、農業生産法人を設立している。農業生産法人へは日立建機(株)で雇用された障害者が出向して、作業に参加している。

    農業生産法人は出向の対価として、生産した農産物を日立建機(株)へ無償提供し、それらは社食の食材として利用されている。企業は福祉のノウハウがないため、こうした法人との連携により障害者雇用を達成しやすくしている。

    連携関係:障害者福祉事業所←→企業
    • 共同出資
    • 出向者の受入れ
    • 利用者の就職先の確保
    • 障害者の高い工賃確保
    • 企業は食堂の食材の確保
    • 企業は障害者法定雇用率の達成
    • 企業は新たな地域貢献
  • ほかの地域の障害者福祉事業所の加工食品の食材を提供している。

    連携関係:障害者福祉事業所←→ほかの障害者福祉事業所
    地域外の福福連携
    • 新たな販路の開拓
    • ほかの事業所は食材の確保
<その他>
  • 施設外就労の作業受託料は人数×時給×時間換算としている。
  • 就職した者は、グループホームに入所して企業等へ通勤する者が多い。
  • 「しろがね苑」の自立訓練および就労移行支援事業の利用者の平均利用期間は6.7年間と短く、過去5年間で41名(毎年平均8.2名)が一般就労を果たし、農業生産法人や一般企業に就職している。

    定着率も95%に達している。そのため利用者の平均年齢は29歳と若い。利用者の障害程度区分は平均3.8である。

(5)今後の展望

高付加価値農産物を生産・販売するために、有機JAS認証の取得を目指している。さらに、生産した規格外の野菜を利用し、冷凍した食品加工と販売にも取り組む予定である。