農業の取り組み|事例紹介 §6
社会福祉法人清水旭山学園

(1)施設概要
- 設立
- 昭和53年(1978)
- 代表
- 理事長 鳴海孟
- 本部
- 北海道上川郡清水町旭山南8線58-1
清水旭山学園は、障害者支援施設「清水旭山学園」、就労継続支援B型事業「御影農志塾」、就労継続支援B型事業・生活介護事業「旭山農志塾」といった知的障害者の就労支援、自立訓練、施設入所支援などにかかる8つの事業を実施している。さらに特別養護老人ホーム「せせらぎ荘」、通所介護事業所「リゾーム」などの5つの介護保険事業も行っている。また地域の障害者に加え、要介護者である高齢者の受入れ施設となっている。
障害者の就労支援事業として農業生産、加工、販売に取り組んでいる。有機野菜(有機JAS認証取得)を生産、採卵鶏・肉用鶏を平飼いで飼養し、また原木シイタケ生産を行っている。そして敷地内においてトラウトサーモン養殖、廃棄物処理業許可を得て町内外の農業用廃プラスチック再生処理(牧草用ロールの廃棄フィルムを圧縮梱包・再生し、ペレット製造・販売)にも取り組んでいる。
旭山農志塾では、主に養鶏事業・精米事業・一般廃棄物収集運搬処理業(飼料製造)・有機農産物生産・加工を行っている。
御影農志塾では、主に農業用廃プラスチック再生処理・有機農産物生産・加工を行っている。
(2)調査日/対応者
平成26年10月27日/三津大輔氏・太田民生氏
(3)調査目的
農業生産および6次産業化、循環型農業に取り組む事例について実態調査を行った。
(4)調査内容
表6 農業の取り組み概要
農地 | 畑/約13ha(所有地(約8ha)、借入地(約5ha)) |
農産物 | 肉用鶏3000羽、採卵鶏4500羽、原木シイタケ数万本、野菜約50種、精米100t処理 |
加工品 | 野菜乾燥粉末、野菜ピューレ、野菜茶、トラウトサーモンスモークほか |
出荷 | 一部を自給食材として利用し、大部分を販売 |
販売先 | FAX販売、ネット販売、生協、市場、直売所など |
栽培 | 有機農業(無農薬・有機肥料) |
作業者 | 旭山農志塾:就労継続支援B型利用者20名・生活介護利用者20名、職員10名|御影農志塾:就労継続支援B型利用者20名、職員7名 |


<6次産業化の取り組み>
加工
なるべく野菜は加工している。高付加価値にして出荷し、さらに冬場の仕事とするためである。また一部の加工野菜については農家の野菜をOEMで製造している。
施設内の食品残渣や地元・生協のスーパー等から発生する食品残渣を回収・利用し(一般廃棄物収集運搬処理業)、鶏の餌としている。さらには鶏の糞尿などを利用し、野菜生産のための肥料とする堆肥製造も行い、循環型農業を行っている。
販売
米は生産していないが、卸売業者から米を仕入れて、事業所内で精米し、地域の他の事業所や病院等へ販売している。そして精米時に発生する米ヌカを鶏の餌に利用している。
<地域等との連携>
農家の野菜についてOEMによる加工を行っている。
- 連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家
- 新たな職域の開拓
- 加工機械の稼働率向上
- 農家は農産物加工の機会
小売店等の食品残渣を回収している。
- 連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家
- 養鶏の餌の原料確保
- 新たな職域の開拓
- 小売店等は産業廃棄物処理
米を仕入れて精米し、販売している。
- 連携関係:障害者福祉事業所←→地域の事業所・病院等
- 養鶏の餌の原料確保
- 新たな職域の開拓
<その他>
- 清水旭山学園は山林地帯に立地し、この地で障害者の就労や自給を図るために、自分達で学びながら農業に取り組んだ。また施設内の資源を有効活用するために、循環型農業となっていった。
- 平均工賃3万円。
(5)今後の展望
農産物の販売量も増えていることから、農地面積を拡大していきたい。近年、シイタケの原木の入手が困難になっているため、山を購入し原木の自給生産をしていく(植林し既に15年ほど経過、後5年ほどで伐期)。