農業の取り組み|事例紹介 §7
NPO法人共働学舎

(1)施設概要
- 設立
- 平成17年(2005)|(新得共働学舎/昭和53年、農事組合法人共働学舎新得農場/昭和56年)
- 代表
- 新得農場代表 宮嶋望
- 本部
- 北海道上川郡新得町字新得9-1
共働学舎は、障害福祉サービス事業の認定を受けず、一般のNPO法人として運営し、このほかに、農業生産、加工、販売を行う農事組合法人共働学舎新得農場(以下、農事組合法人)を設立・運営している。
障害者、元受刑者、ニート、引きこもり者等のさまざまなメンバーが共に働き、生活している。
敷地内には、メンバーの寮、共同住宅、加工施設、販売施設、カフェ、研修棟などが整備されている。
共働学舎は、近年我が国のソーシャルファームの代表として位置づけられている。障害者福祉にかかる事業を行うのではなく、企業として農業や6次産業化に取り組み、その中に障害者や元受刑者や生きづらさを感じる若者が、メンバーとして働いている。NPO法人は農事組合法人からの農作業委託を受け、農作業等を行っている。
(2)調査日/対応者
平成26年10月28日/宮嶋望氏
(3)調査目的
農業生産および6次産業化に取り組む事例について実態調査を行った。
(4)調査内容
表7 農業の取り組み概要
農地 | 畑/約96ha(町有の借入地・無償(43ha)、所有地(約33ha)、借入地(約20ha)) |
農産物 | 牛110頭、鶏(卵用)200羽、羊20頭、野菜40種 |
加工品 | チーズ、ウール雑貨等 |
出荷 | 一部を自給食材として利用、大部分を販売し、自営飲食店でも利用 |
販売先 | 売店販売、FAX販売、ネット販売、地域内外の飲食店など |
栽培 | バイオダイナミック農法 |
作業者 | 約70名(ボランティア、短期間研修生を含む) |


<6次産業化の取り組み>
加工
乳牛を飼育しており、自給飼料を生産し、その糞尿を畑の肥料に利用している。生乳のほとんどをチーズに加工している。また羊毛の雑貨を製造している。
販売
敷地内にはカフェ・売店「ミンタル」を設けている。
<地域等との連携>
リタイアした農家から農地を引き継ぐ。
- 連携関係:障害者福祉事業所←→地域農家
- 農家の農地を管理
- 自給飼料畑の拡大
地域の酪農が低迷しているため、町のチーズ等の中規模加工施設の整備および運営に協力する(予定)。
- 連携関係:障害者福祉事業所→町
- ノウハウ等を提供
<その他>
- 心身に障がいを持つ者の月額賃金3~6万円。
- メンバーの住む寮や共同住宅を敷地内に整備し、共同生活を行っている。
- チーズ、有機野菜、鶏卵、工芸品等の合計年間売上額は1.8億円(牧場の総売上額は約2.2億円)。
- 製造したチーズは、チーズの世界大会で数々の賞を受賞している。
- 共働学舎としても、これまでの取り組みが認められ、国内で多くの賞を受賞している。
(5)今後の展望
これまで共働学舎内における農業生産と6次産業化に取り組み、かつ地域で高齢化によりリタイアする農家の農地管理に取り組んできたが、今後は経営の厳しい小規模な地域の酪農家の経営を維持・向上させるため、チーズの加工技術を伝達する。役場およびJA等が協力しチーズ製造工場をつくり、これまで培ってきたノウハウを提供し、地域のために貢献していく予定である。